最近、個人開発のプロダクトや SNS 向けの短い動画広告(ショート動画)を作る機会が増えました。
テキストや静止画よりも圧倒的にクリック率が良いのはデータとして分かっているのですが、実際に自分で作るとなると、一つの大きな壁にぶつかりました。
「撮影、めちゃくちゃ時間が溶ける問題」 です。
部屋を片付け、照明を調整し、カメラを回しては噛んでリテイクの嵐……。15 秒の広告を作るのに半日かかることもありました。これでは本来の開発やコンテンツ制作にリソースを割けません。
そこで最近、自分のワークフローに組み込んでみたのが AI を使ったアプローチです。今回は、クリエイター目線で「動画広告の効率化」についてリアルな所感をシェアしたいと思います。
なぜ広告には「顔」が必要なのか?
そもそも「面倒なら画面録画と音声だけでいいのでは?」と思い、顔出しなしの広告を回してみた時期もありました。しかし、結果としてエンゲージメントはガクッと落ちました。
なぜなのか。調べてみると、どうやら人間の脳の構造に関係しているようです。
Google が公開しているデジタルマーケティングの知見集 Think with Google のレポートなどでも言及されていますが、動画広告は「最初の 5 秒」でユーザーの心を掴めるかが勝負です。
そして人間は、画面内に「人の顔(特に目線)」があると、無意識にそちらに注意を向ける習性があります。つまり、情報を伝えるための「案内役」として、人物の存在は非常に強力なフックになるわけです。
デジタルな案内役を雇うという選択肢
「顔は出したい、でも撮影のコストは下げたい」。
このジレンマを解決するために、最近は AI Virtual Presenter(仮想プレゼンター)を活用するようになりました。
最初は「いかにも AI っぽくて、逆に不信感を持たれるのでは?」とかなり疑っていました(いわゆる不気味の谷現象ですね)。
しかし、色々なツールを触って PDCA を回すうちに、使い方次第でかなり自然に見せられることが分かってきました。例えば、構成のアイデアを思いついた時に、テスト用のモックアップをサクッと作る用途で Adsmaker.ai などを挟んでみたりして、まずは「喋る人物がいる動画のプロトタイプ」を高速で出力します。
撮影の準備ゼロで、テキスト(台本)を打ち込むだけで動画の素材ができるのは、控えめに言って革命的でした。
「広告っぽさ」を減らす、ちょっとした工夫
ただ、AI 生成ツールをそのまま使うと、どうしても「ニュースキャスター」のような堅苦しい動画になりがちです。SNS のタイムラインでは、この「作られた広告感」はすぐにスキップされてしまいます。
そこで私が意識しているのは以下の 3 点です。
- 台本を「口語体」にする:「〜です。〜ます。」だけでなく、「〜なんですよね」「ちょっと見てほしいんですが」といった、えー・あー等の UGC(ユーザー生成コンテンツ)っぽいカジュアルなテキストを入力します。
- あえて目線を逸らす:ずっとカメラ目線だと圧迫感があるので、たまに視線が外れるようなキャラクターを選びます。
- 固定キャラの育成:複数の広告で同じキャラクターを使い続けることで、徐々に AI Brand Avatar(AI ブランドアバター)としての認知を獲得できます。「このキャラが出ている=あのアプリの広告だ」という一貫性が生まれるのは意外なメリットでした。
おわりに:AI は「完成品」ではなく「下書き」
数ヶ月使ってみて思うのは、AI ツールは「すべてを完璧にこなしてくれる魔法」ではなく、「0 から 1 の土台を爆速で作ってくれる有能なアシスタント」だということです。
最終的なテロップの調整や、BGM のタイミングなど、人間のクリエイターによる「味付け」はまだ欠かせません。それでも、カメラの前に立つという最大の心理的ハードルが無くなったことで、広告制作のストレスは劇的に減りました。
「動画を作りたいけど、撮影がネックで止まっている」という方は、一度デジタルなプレゼンターを試してみると、新しい見せ方が見つかるかもしれません。